流山市立おおぐろの森中学校
2021年
所在地 :千葉県流山市
建築設計:日本設計
構造設計:日本設計
施工:奥村組 中村組 流山緑化土木
写真提供:株式会社 川澄・小林研二写真事務所、輿水進
【寸評】
昨年度のおおぐろの森小学校に続き、日本設計による流山市立おおぐろの森中学校がLVL賞となった。木造3階建ての学校建築である。設計者・発注者・木材供給者・木材加工者が一体となって、地元・千葉県産材ばかりでなく流山市と同じ利根川水系の上流地域の他県産材を利用し、下流にあたる都市部の木造校舎を実現したという取り組みは、木材利用に関する<地域>のとらえ方を拡張し、林産地と都市部のつながりを深め、都市の木造・木質化に推進力を与えるものと思われる。
LVLを用いることで可能となるシャープなデザインが随所にみられるが、LVLだけでなく、大きな跳ねだしのバルコニーにはヒノキCLT、体育館のトラスは集成材、樹状の方杖が「森」を思わせるホールはヒノキ製材、と適材適所に様々な木質材料が用いられている。図書館を中心とした、東西・南北の軸線が通るプランニングは大規模校舎らしく合理的にまとまり、平面図だけをみていると整然としたものに感じられるが、構造システムや木質材料の多様さ、学年ごとに少しづつ変化を持たせた空間のデザインによって、図面から読み取れる以上の豊かな環境が実現されている。
おおぐろの森に隣接し、教室から校庭をみると、おおぐろの森小学校の校舎が見える。国内最大規模の木造小学校・中学校での合計9年間を通じて、子供たちに、この学校群に込められた、大人たちの想いを感じ取ってもらえることを願う。
(内海彩 / NPO法人 team Timberize 理事)