みやむら動物病院
2015年

所在地:東京都江戸川区
建築設計:鈴木敏彦/ATELIER OPA+西澤高男/ビルディングランドスケープ
LVL監修:山代悟/ビルディングランドスケープ
構造防耐火設計 : 安井昇、佐藤孝浩/桜設計集団
施工:大和工務店
写真:斎藤さだむ

【寸評】

LVLの厚板の壁が前面道路に向かって象徴的に並んでいる。その潔さとスケール感はまちの景観を生み出していく都市木造の一つの形を提示している。
また、待合室である吹き抜け空間も印象的である。大きな木のヴォリュームに包まれているにもかかわらず、LVL積層面の特徴的なテクスチャーと斜めに傾けられた壁面、そしてスリットから差し込む光によって開放感も併せ持つ空間になっている。
LVLの厚板の壁には、被覆なしで1時間準耐火構造の耐力壁として認定された「木層ウォール」が採用されている。設計者は木層ウォールの開発にも参画しており、その意欲的な姿勢を高く評価したい。今後もますます都市木造の普及に貢献していただきたい。
(山田敏博 / NPO法人 team Timberize 理事)

木質系材料の中でも、面材(壁・床)と線材(柱・はり)を製造することができるLVL(単板積層材)を主に用いた準防火地域の3階建て動物病院である。建物用途が畜舎となるため、準耐火建築物(延べ面積1,500㎡以下)で設計しており、道路面は1時間準耐火構造の大臣認定を取得したLVL厚板外壁、その他の部分は、柱・はりを準耐火構造告示のせっこうボード等で耐火被覆している。LVL厚板だけで構成すると配線・配管スペースの確保など困難なことも多いため、柱・はりの軸組とLVL厚板の併用工法となっている点が特徴的である。
丸太をカツラ剥きしたベニアを積層したLVLは、この積層面と、合板と同じような板目面で異なる表情を見せるが、この建物では特に積層面を積極的に見せて、木材の新しい意匠をつくりあげている。特に、雨がかり部分では構造躯体のLVLをあらわしにせず、仕上げにもう一枚LVLを張っており、この仕上げが劣化した場合にも取り替えられるように配慮されている。
都市において木材を内外装の仕上げに使うお手本になる建物といえるだろう。
(安井昇 / NPO法人 team Timberize 副理事長)