Port Plus 大林組横浜研修所
2022年

所在地 :神奈川県横浜市中区
設計監理:株式会社大林組一級建築士事務所
施工  :株式会社大林組
撮影カメラマン: ㈱エスエス 走出 直道

【寸評】 
Port PlusがT-1グランプリ2022とLVL賞のダブル受賞となった。柱、梁、床、耐震壁、屋根の主要構造部がすべて木造という高さ44メートルの純木造の高層ビルを実現したことにまずは敬意を表したい。
太い柱と梁、一方向ラーメン構造、ダブルスキンのファサード。手前味噌になってしまうが、2010年にティンバライズが都市木造のプロトタイプとして発表した「30」が、12年後の2022年にPort Plusによって具現化されたのではないかと思う。都市木造のプロトタイプとして、時代を切り開く作品の一つになるだろう。
豊かな木質空間だけでなく、LVLを使った「剛接合仕口ユニット」による工期短縮、CLTの床の遮音性能向上、木構造部へのヒートブリッジを防止する外装支持といった丁寧なディテールにも注目したい。また、街に開いた誰もが木造建築に触れられる1階のピロティ空間も高く評価できる。
Port Plusが純木造の高層ビルを実現したことで、都市木造は第2ステージに突入したと言えるだろう。都市木造のターニングポイントになるこの建築は、文句なしでT-1グランプリに相応しい作品である。
(山田敏博 / NPO法人 team Timberize 副理事長)