東急池上線戸越銀座駅
2017年
所在地:東京都品川区
事業者:東京急行電鉄
建築設計:鈴木靖+奥村政樹/アトリエユニゾン
構造設計:稲山正弘/ホルツストラ、田尾玄秀/樅建築事務所
施工:東急建設
写真:上田 宏
【寸評】
現在、都市木造実現のための技術開発は進んでいるものの、実施の決断にいたる心理的バリアは一般にはまだまだ高いようで、都市の主要施設が木造化されることはそれほど多くはない。そんな状況下の中、施設整備については保守的で慎重であるはず(あったはず?)の鉄道会社が、老朽化した「木造」駅舎を、耐久性などを理由に公共空間では敬遠されがちな「木造」でリニューアルしたこのインパクトと影響力は計り知れない。
施工上の前提条件から、1ピース70kg程度のパーツで計画されたことにより大型重機を使用せずに人力で施工されていることも、密集市街地での都市木造建築のメリットとして注目されるべき点である。「都市木造」の可能性を広く一般に明瞭に示したデザインといえるだろう。
(小杉栄次郎 / NPO法人 teamTimberize 副理事長)